人に学びて、自然とともに生きる

Never stop exploring, Keep your curiosity fresh

日本の森林について

with 5 comments

ちょっとまじめに仕事と研究の話。

『西日本新聞』の1月30日の朝刊の記事で、日本の人工林に関して興味深い記事があった。九州では25%の伐採場所で、再造林がなされないまま放棄されているという。

スギやヒノキなどの人工林における伐採後の再造林に対しては、林家に対して国から70%くらいの補助が出るが、それでも再造林が行われない。つまり、70%の補助が出ても割りに合わないほど、木材価格が低く経費が高いということになる。

手元に資料がないので、最近の実情に関して詳細はわからないが、平成13年の「森林・林業白書」によると林業経営者の平均年間収入は26万円だという。月間じゃない、年間26万円なのだ。それでは、こんな状況が生まれるのも無理はない。

温室効果ガスの増加と考えられる温暖化や、温室効果ガスの削減を定めた京都議定書が社会的に認知されて以来、CO2吸収源として林地は注目されるようになった。適切な間伐が実施されれば、それだけ人工林における炭素吸収能力は高くなり、国内材の利用によって相対的に海外で伐採される木材は減少するというわけだ。

現実として、途上国を中心とした森林、とりわけインドネシアなどの熱帯林、ロシアの針葉樹林は、中国や日本などの木材輸入国への供給のため近年違法伐採も含め急激にその面積を減少させている。この先、世界的に木材需要は増加していくことは明白であり、その一方で全地球上の木材資源は限りがある。

そして、さらに重要なことは木材は成長するのに時間がかかるということ。木材チップに限った話でも広葉樹で最低5年、針葉樹にいたってはどんなに速くても20年は経過しないと出荷することはできない。気がついた時にはすでに手遅れになっている可能性が高いのだ。

それでは、この先いったいだれが、どの国が木材資源を供給していくのか?近年の違法伐採を含めた自由貿易経済下による森林減少を見ていると、誰もが資源がなくなってしまうという終着点をわかっているのにみんなが怖くて言い出さない。もしくは、なにか大どんでん返しが起こってくれるのを待っているとしか思えない。企業にとっては、20年先の地球よりも今期の決算が、森林に近いところで生きる人にとっては、子どもや孫の代の土地よりも目先の生きる糧が大切なのだろう。それは仕方のないことなのかもしれない。きっと、自分もその一味なのだから。

そんな中、今仕事で原料として使用する木材チップの中で国内材利用の比率をいかに高めていくかを考えている。今後の世界的な需要拡大・原料不足が目に見えている以上、現時点でコスト増になるのかもしれないが、輸入材の価格が高騰するであろう5年先、10年先のことを考えて国内材の確保に向けて手を打たなくてはいけない。

自分たちの行動が日本国内における適切な森林管理を促すことになり、世界規模での森林消失の抑制、日本国内における土砂災害・水害防止、ひいては炭素吸収増加に貢献することができる。コストの観点からだけではなく、CSRの観点からも、森林とのかかわりが深い企業として果たすべき責任であろう。

企業の一員として、一個人としてそう思う。
 

以下、新聞記事引用開始
=================================
伐採後植林せず25% 九大グループ調査 98‐02年 九州の人工林 土砂流出恐れも

 九州大学農学研究院の吉田茂二郎教授らの研究グループは29日、スギなど人工林伐採後に再植林しないまま放置する九州内の「再造林放棄地」の実態調査結果をまとめた。1998‐2002年の5年間に伐採された人工林約5000ヘクタール、2812カ所のうち、放棄地は25%に上り、熊本、宮崎県などに集中。今後の木材資源が減少し、土砂流出も誘発するなどとして九州内で問題となっている。今回のような詳細調査は初めて。

 吉田教授らによると、02年までの5年間の衛星画像から伐採地を細かく抽出。九州7県の協力も得ながら現地調査を実施し、放棄地の実態を把握した。

 この結果、スギ林など伐採された人工林4995ヘクタールのうち、25%に当たる1244ヘクタール、684カ所が、3年以上再造林されていない「放棄地」だった。

 放棄地を県別にみると、最多が熊本県の544ヘクタール(270カ所)で、宮崎県532ヘクタール(293カ所)とほぼ同じ。次いで大分県116ヘクタール(86カ所)、福岡県36ヘクタール(21カ所)と続く。佐賀、長崎、鹿児島各県は目立たなかった。

 特に多い地域は、福岡県の英彦山周辺、熊本県の阿蘇地域、球磨・山江両村、宮崎県北部や美郷町など。大分県日田地域や宮崎県椎葉村などは、伐採面積が多かったものの再造林していた。

 この調査は国の研究事業の一環で、九大をはじめ宮崎大、鹿児島大と九州7県の林業試験場などが参加。04年度からのプロジェクト(5年間)で、08年度までに放棄地の再生法の開発などを進めていく。
=2007/01/30付 西日本新聞朝刊================
<引用終わり>

広告

Written by shunsuke

2007年2月5日 @ 2:06 AM

コメント / トラックバック5件

Subscribe to comments with RSS.

  1. どうもー記事見たよー
    勉強になる題材でした。中国に住む人間として今の現状ではあまり頭に出てこない想像です。
    たまに見る新鮮な話題で発想転換してみます。(できれば^^)
     
    割り箸明日からは洗ってつかいますわー
    できるかなー?
     
     

    kimura

    2007年2月6日 at 8:39 PM

  2. 難しいテーマですね・・・
    持続的発展っちゅーやつですよね・・・
    純粋に、木がなくなるのって寂しいですね。木製家具とか大好きだし・・・
    またゆっくり話し聞かせてくださいね。
     

    Kensuke

    2007年2月7日 at 9:19 PM

  3. >ムーツン、ねぎ

    コメントありがとう。きっと問題なのは、放っておいたらとりかえしのつかないことになるのは目に見えているのに、みんななんとかなるだろうって思っていることなんだと思うよ。

    森林問題だけじゃなくて、関連性の深い食糧やエネルギーもそうだけど、レスターブラウンみたいな一部のアクティビストが警鐘しても危機感を共有できていないんじゃないかな。

    企業として何ができるのか、今はその立場から考えていこうと思うよ。

    Shunsuke

    2007年2月9日 at 10:43 PM

  4. Hey I saw your pics. They are awesome. You take great pics.

    Tin

    2007年2月12日 at 10:21 PM

  5. >mimi
    Thank you for your comment.
    I love making a photo, especially love the time to build a personal relationship with the person of photogenic subject.
    It is exciting because they have own style of communication to develop a relationship in each county, each religious and each language.
    So, I cannot help traveling.

    Shunsuke

    2007年2月18日 at 7:36 PM


コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。