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城崎にて

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少し前のこと、兵庫の城崎温泉へ行った。

中学・高校時代、谷崎潤一郎から始まり白樺派の作家を読み漁っていた僕にとっては、「城崎にて」の舞台となった憧れの場所。

作者の志賀直哉は30過ぎまでぷらぷらしていて、結局生涯通じて一本の長編しか書かなかった。本人は自分が求める完全なる文章になるまで推敲し、なかなか作品が完成しなかったと述べているが、はたして彼の感性が鋭すぎたのかただの怠け者だったのか。生き方がなんか自分に似ている彼の作品が大好きだった。

城崎は小さな町だった。駅を降りると、もうそこはカニ、カニ、カニ。もちろん僕にとっての目的は小説の舞台の街を歩くことだったが、同行者はカニ目当て。福井でとれたカニは越前ガニというが、兵庫に入ると津居山ガニというらしい。

夕方、街の共同浴場をめぐる。城崎では街の温泉組合が7つの共同浴場を管理していて、各旅館ごとに下駄、ゆかたを貸し出して泊り客には共同浴場の無料入浴券を配っている。これはうまいシステムだ。各旅館は自分たちが大きな内湯を持つ必要がないし、何より観光客が街を歩く仕組みをつくることによって、飲食店や土産屋街全体にお金が落ちる。そして、観光客も無料でゆかたとゲタをレンタルしてくれるから、浴衣姿で川沿いの柳がしだれる道を歩きながら風情に浸ることができる。

夜は川沿いの小さな宿いちだやに泊まりカニ三昧の料理をいただく。カニ刺、焼きガニ、カニしゃぶ。そして締めはカニ雑炊。7歳の時に腐りかけのエビを食べて以来、これまで僕は甲殻類が苦手なほうで「うまい!」って思うことはあまりなかった。二、三年前に流れていた一番搾りのCMでカニしゃぶを食べながら「うまい!」とビールを飲むのがあったが、その気持ちがようやくわかった気がする。冬の山陰のカニは別物。今までこんなうまいものを食べていなかったと思うと残念でしかたない。

湯あがりに川沿いの道にあったフレッシュジュース屋さんで、きんきんに冷えたマンゴージュースを一杯。顔を上げるとライトブルーの空がだんだん濃い群青色に染まっていく。ほほには川沿いの道には海からの風が心地よくそよぐ。うーん、これぞ温泉街。

率直な話、温泉の泉質は循環させておりとりたててすごいというほどではない。だけど、有馬温泉などを抑えてこの街が人気なのは(じゃらん温泉ランキング近畿一位)、雰囲気作りに成功しているからだと思う。きっとビジョンを語れるリーダーがいたんだろうな。またゆっくり来たくなる、そんな温泉だった。

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Written by shunsuke

2007年3月18日 @ 1:21 PM

カテゴリー: 旅行

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