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読書の秋

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秋も深まり、最近久々によく本を読んでいる。仕事を始めてから本を手に取る機会が少なくなっていたので、こんなにまとめて読んでいるのは久しぶりだ。
浅田次郎「蒼窮の昴」。しばらくぶりに寸暇を惜しんで活字に貪りついた物語だった。同じ村出身の春児、文秀、この二人の人生を通して清末の中国という一番面白い激動の時代を描いている。ストーリーは奇をてらうことはないが、秀逸なのは科挙と宦官という中華王朝を支えたこの二つの制度を緻密に描いて架空の人物を王朝を貫く歴史の中に取り込んでいることだろう。
それに加えて李鴻章や西太后たち実在の人物がその中に絡み合っていくことで、架空の人物が色めき躍動している。そして浅田作品ならではの人間味溢れる人物描写と心の内面描写はいつもながらすばらしい。
チャイニーズドリームを夢見てそれを実現させるべくまったく別々の道で一心不乱に前進し続ける春児と文秀。最終的な目的はひとつでも、そこにたどりつくには無数の選択肢がある。家庭の経済条件、身体条件、それこそあまたのハンデがあるだろうが、自分の信じた意思を貫き通す人間の強さのみが人を動かし自分の運命を変え、時代を動かす。これが物語を貫いている主題なのだろう。
「もうこれしかねえんだ」物語の前半、春児は心の中でそう叫びながらごくわずかな光を目指し人生を変える決断をする。あまりに選択肢が多い現代がゆえに、そんな春児の生き方は僕たちに鮮烈な印象を与えるのだろう。
パール=バックの「大地」が土に根ざして生きる中国人民の力強さを描いた文学作品だとすれば、これは中華帝国をつくりあげたその制度と史実をもとにした極上のエンターテインメント。この11月に完結した続編「中原の虹」も読む価値あり。
蒼穹の昴(上)
蒼穹の昴(上)

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浅田 次郎
講談社
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Written by shunsuke

2007年11月30日 @ 10:55 PM

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