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残された者にできること

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「やっぱり久しぶりに野球やると楽しいっすね」。高校球児の面影を残す爽やかさと、はにかんだ笑顔。それが僕にとっての北優路の第一印象だった。彼との出会いは1998年の4月のこと。同じ学部の一つ下の学年で入ってきた彼、お互いに野球をやっていたということもありすぐに仲良くなった。以来、とても仲がよかったというわけじゃないけれど、学校で会えば話をし、たまに酒を飲んだりする仲だった。
 
-テレビ局記者、秩父の山で遭難死-一時帰国の最後の朝、何気なくホテルの部屋で流していたテレビから聞こえてきた名前に耳を疑った。「記者になることになったんっすよー」彼が卒業する前の飲み会でビールを飲みながらそう就職の報告を聞いて以来、それが7年ぶりに見た彼の姿だった。
 
彼の名を東京のホテルの部屋で聞いてから二週間あまり。今では彼の名前がニュースになることはなくなった。世間なんてそんなものだ。日本だけでも一日に何千人と死んでいくわけで、一人の死がそれほど長い期間ニュースバリューを持つわけではない。会社なんてそんな組織だ。一人がいなくなったとして誰がその仕事をしたとしても劇的に結果が変わることは少ない。
 
死んだら終わりなんだな。すごいドライなのかもしれないけれど、彼の死とその後のニュースを見てそう感じた。仕方ない、人の記憶には限界がある。生きている限り何か新しいインプットがあるたびに別の何かを忘却しなくてはならない。そうやって時の経過とともに世間と人の記憶は薄れていく。
 
でもそれって寂しい。だからこそ、世間の記憶が薄れていっても、少なくとも僕らは彼のことを忘れないでいたい。それが残された僕たちにとってできることであり、彼に対してのせめてもの弔いになるんじゃないか。
 
ユージ、きっと一緒の時間を過ごしたたくさんのやつらがお前のことを覚えているよ。安らかに眠ってくれ。
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Written by shunsuke

2010年8月15日 @ 7:06 PM

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