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黄土高原ヤオトン滞在記 その1

with 4 comments

ひょんなことからヤオトンという名前を聞き、ふと懐かしくなったので紹介したいと思う。ヤオトン(窑洞)とは山西省や陝西省の黄土高原に見られる半洞穴式住居のこと。僕は自分の研究調査のため、2003年の冬と2004年の夏、この黄土高原のヤオトンに一ヶ月ほど暮らしたことがあったんです。

場所は陝西省北部のこのあたり。

最初にこの村を訪れた時は、その風景に衝撃を受けた。自然と闘っているという表現がぴったりの場所、そこで踏ん張っている人たちの姿を今でも新鮮に思い出すことができる。これが空からみた黄土高原。昔は森に覆われていた土地も、人口の増加で山のてっぺんまで畑になり、植生が失われたことで侵食が進んでこんな土地になった。

GoogleMapの写真で見てみるとこんなかんじ。

そしてこれが滞在していた村の近くの山のてっぺんからみた風景。見渡す限り、どこの山もてっぺんまで耕されている。これ、すごいよね。陳腐な表現しか思い浮かばないのが悔しいけど、僕はこの風景を見て、人間が生きていくっていうことの執念を感じたよ。

この場所へ向かうにはまずは北京西駅から汽車に乗り、山西省の大同へ行く。そう大同と言えば世界遺産の雲岡石窟があるところ。仏さまはいつ見てもいいものです。

そこからマイナーなローカル線に乗り換えて、砂漠化が進む地域を列車で走っていく。山西省から陝西省に入り、神木北駅で降りる。

そして、こんな感じのローカルバスを乗り継いで3時間くらい行くと目指す場所に到着。

初めて訪れたこの2003年の12月、とても寒い日で温度計が-15℃を指していたのをよく覚えている。村の丘の上からの風景。黄土に刻まれた侵食谷にへばりつくようにヤオトンが建てられ、人々が暮らしている。

これがヤオトン。この真ん中のヤオトンが僕の暮らしていたヤオトン。

ひえーほら穴に1ヶ月も無理!と思ったアナタ。結構このヤオトンは快適で2003年の時点ですでにインターネットもつながっていたんですよ。これがヤオトンの中。どこのヤオトンもたいてい奥にベッドがあってオンドルになっている。ベッド手前のかまどから暖気を送り込んで暖めるので、寝るときはかなり快適。だけど薪で火を起こすので、毎年一酸化炭素中毒で何人(何百人)も死んでいるらしい。

僕が暮らしたヤオトンは昔からこの村に訪問していた日本人の方が購入したもので、たまに知り合いに貸していた。この時は一泊30元。この方は今でもヤオトンの使用権を持つ唯一の日本人だと思う。

これまでは冬の写真だったけど、ここからは夏の写真。緑があるのとないのではまったく村の印象が違うんです。谷の対岸から見るとこんな感じ。谷にある道から家につながる小道が続いている。山の中腹に平らな土地を作って、そこから山の中に入っていくような感じで家が建てられているのがよくわかる。

家の前は平らになっていて、そこで野菜を育てている。家の主は家を建てるときに山肌を切り崩したと言っていた。これは買ってきたパクチーの種をまいているところ。ナスやトマト、トウモロコシやナツメなどがあったけど、トマトが信じられないくらい甘くておいしかった。

その平べったい場所の一角にトイレもある。もちろん汲み取り。汲み取ってその後発酵させて肥料として使っていた。ここは冬はマイナス20℃にもなり、降水量も年400mmくらいしかない。雨も土地も限られた農業限界地なので利用するものは何でも利用する。食事中の方、ごめんなさい・・・

どこの家もたいてい10匹くらいは家畜を飼っている。そしてその8割くらいがヤギだった。ヤギは厳しい環境でも生きていくことができる。だけど、草の根っこまで食べてしまうので、ヤギが多いと植生が戻らない場合が多い。ジレンマだ。

あと数回に分けて黄土高原のヤオトンのある風景、人、暮らしを紹介していきたいと思います。

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Written by shunsuke

2011年2月8日 @ 9:28 PM

カテゴリー: 2004/08 Losse Plateau

コメント / トラックバック4件

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  1. うわー、年末に延安まで行ったのですが、懐かしいです。
    黄土高原は、とてつもない風景ですよね。
    しかも、お泊まりになられたヤオトン、
    なんと日本人の方のもの!!!
    自分もぜひ宿泊したいものです。

    西安から延安まで往復したのですが、
    本当は延安から瑜林経由で太原まで行きたかったんです。
    でも、旅のプランの都合上、泣く泣く交通の便がいい西安に帰りました。
    数回のレポート、引き続き楽しみにしています!

    uracci

    2011年2月10日 at 5:36 PM

    • > uracciさん
      コメントありがとうございます。
      黄土高原、ほんとに独特な風景ですよね。
      そこにある暮らしも人間と自然とのせめぎあいがひしひしと伝わってくるものでした。
      一ヶ月滞在したのは6年半前になるのですが、今でもよく思い出します。
      楡林も延安も対して変わりませんが(笑)、そのうち機会がございましたら
      訪れてみてください。
      僕もそのうちまた行ってみたいですね。

      shunsuke

      2011年2月11日 at 3:54 AM

  2. 良い経験!
    私も泊まってみたい

    生活は厳しそうですな

    フランソワ

    2011年2月11日 at 11:19 AM

    • > フランソワ
      20台前半だったから一ヶ月もいられたんだと思う。
      精神的にも肉体的にもいろいろ余分なものを蓄えてしまった30台の今は
      厳しいかもしれない。

      ヤオトンツーリズム、中国人の中にも伝統的なものに対する回帰があるから
      それなりに需要はあると思うのだけど、まだまだ見かけないね。

      shunsuke

      2011年2月12日 at 4:26 PM


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