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黄土高原ヤオトン滞在記 その5 -隣の村でのできごと-

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ヤオトン滞在記最終回。今回は隣の村でのできごとを紹介したいと思います。

「隣の鎮に行くけど一緒に行くかい?」村での滞在も終わりに差し掛かった頃、家の主からそんな誘いがあり、早速ついていくことにした。住んでいた村から目的地までは車で30分ほどで到着。もちろんここにあった家も構えはヤオトン式。

この日は京劇の巡業が来ているとのことで、村の広場には特設ステージが設けられていた。

村の人たちもみんな広場に集合。それにしてもこう改めて見ると年寄りか子どもしかいない。若者や働き盛りの人は進学や出稼ぎに行くためほとんど村には残っていない。考えてみれば中学校までしかなくて、仕事がほとんどないこの村に若者がいてもやることはない。

地方の小さな劇団の彼ら。こうして年の半分くらいは村と村をまわって公演をしているのとこと。半分仕事、半分ボランティア。

村の横を通っている街道沿いのガソリンスタンドで、若い女の子たちが働いていた。彼女たちは中学校まで出て、それ以降はこうして働いていてみんな17歳か18歳。月給は400~500元(2004年当時)。これでも村では貴重な現金収入の機会だ。

楡林市内や西安まで行けば中卒でも800~1000元くらいの仕事があるみたい。4人のうち2人は西安に2年くらい働きに行っていたけど、言葉も違うし慣れなくて去年戻ってきた「北京とか上海まで行けば仕事はあるけど、言葉も全然違うし、田舎ものは馬鹿にされるだけ。それだったら給料安いけど地元で暮らすほうがいいわ。あっ、でもいい服着たいし、やっぱりお金ほしい」そんな揺れ動いている彼女の言葉が印象的だった。

「そんな状況を打破すべく村で新しい産業を興そうとしてるんだ」家の主が紹介してくれた村の書記が、僕を村のある一角に連れてきてくれた。

この時期、土壌流出が激しい傾斜地の耕地を林地に戻す「退耕還林」という政策の一環で補助金が退耕還林を実施した農家に支給されていた。その補助金を村の党委員会が集めて新しい現金収入が見込める事業を起こそうとしているらしい。と、話し終えたところで書記が連れてきてくれた場所の光景に僕は目を疑った。

これって・・・「そう麻だよ、麻」これが高く売れるんだ。補助金使って大麻栽培、みんなたくましいなあ。

彼らが大麻を栽培することが違法であることを知っていないはずがない。だけど、産業がなくて農業限界地のこの土地で彼らが出した結論がこれだったんだろう。この国の現実主義にはいつも感心させられることが多いけど、この時の驚きは僕のこれまでの中国での経験の中で三本の指に入る衝撃だった。

中国で働いてみて今こう思う。学生時代に一ヶ月ヤオトンに暮らすなど、会社組織の中では体験することが難しい経験を積んでおいてよかった。この経験を通じて学んだことが、今彼らとビジネスをする中でとても活かされている。村を紹介してくれた大阪大学の深尾葉子先生、村で世話してくれた家の主、馬智慧、そのほかこのようなチャンスをくれたすべての人たちに感謝です。

ヤオトン滞在記、これにておしまい。

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Written by shunsuke

2011年2月20日 @ 5:35 PM

カテゴリー: 2004/08 Losse Plateau

コメント / トラックバック2件

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  1. 「得がたい経験」とよく言いますが、こうして具体的に目の当たりにして、現実的に理解しました。
    中国と言う国の人間の、独特な民族性がまた一つ垣間見られたと言うか。

    Herry

    2011年2月21日 at 2:46 AM

    • > Herryさん
      ちょっと極端な具体性かもしれませんが、わかりやすい例ですよね。いったん理解するとこれまでは不可解だった行動がとてもReasonableなものに見えてきます。

      shunsuke

      2011年2月25日 at 7:37 PM


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