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Archive for 5月 2012

コーカサスで感じたこと

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すっかりご無沙汰しておりました。今年のGWはアゼルバイジャン、グルジア、アルメニアのコーカサス三ヶ国へ行ってきました。

三ヶ国とも小さい国なので、え?どこそれ?と思われる人も多いと思いますが、三ヶ国とも旧ソ連の国々、カスピ海と黒海の間に挟まれた場所にあり、北はロシア、南はイラン、西はトルコにはさまれた場所です。

このあたりは、アゼルバイジャンとグルジアがそれぞれ北海道と同じくらい、アルメニアが九州よりも小さい面積の地域です。その中でアゼルバイジャンではアゼルバイジャン語を話しイスラム教を信じるアゼリー人が住み、グルジアがグルジア語を話すグルジア人中心のグルジア正教の国、アルメニアがアルメニア語を話すアルメニア人が住むアルメニア正教の国です。

そんなバルカン半島と並んで民族と宗教が複雑に絡み合ったこの場所は、1990年代に他の旧ソ連地域同様に領土争いや民族浄化を経験した地域でした。グルジアの北部にはこれまたニュースでよく聞くチェチェン共和国があり、つい最近も2009年にはロシア国内の自治共和国である南オセチアとの衝突で、グルジアとロシアの間で武力衝突があった場所でもあります。wikipediaに民族の入り混じり具合いがよくわかる図があったので、のせておきます(元ネタ:http://p.tl/F0uH)。

そんなところに11日間ほど行ってきた感想を忘れないうちに書いておきます。

・三ヶ国、三民族とも異なる民族なんだけど、グルジア人とアルメニア人はほとんど区別がつかない。アゼルバイジャン人と他の民族はなんとなく雰囲気と習慣で区別がつく。過去何百年の間、オスマン帝国、ソ連の中で一緒に暮らしてきているんだからそりゃ色々混じっているよね。だけど宗教による違いは食生活の違いだったり、体臭や行動につながるので違いが生まれやすいんだろうな。

・三ヶ国とも今目指そうとしている方向性が違っていて、とても興味深かった。

●アゼルバイジャン
地域大国を目指しているアゼルバイジャン。石油による収入で購買力平価では一人当たりGDPが1万ドル/年を越え、2016年夏季オリンピックにも首都バクーが立候補した(あっけなく落ちたけど、立候補できるくらいの自信と財力があることが大事なんです)。バクーの街中は建設ラッシュに沸き、新しい建物が次々と立てられている。

イスラムなんだけど非アラブの産油国という立場をうまく活かして、石油を武器にロシア、アメリカ、中国と等方位で外交を展開しながらこの地域のリーダーになろうとしている。イスラム色が比較的薄いので、非イスラムからはとっつきやすいし、アラブ側やイランからしても欧州に近いのでいろいろ便利。イスラムと欧州をつなぐ窓口的な存在を目指しているんじゃないんだろうか。最近ではアラブ圏やトルコ圏の歌手は必ずバクー公演をするとか。バクーはそれだけバブリー、成金な街だった。

●グルジア
ロシアから逃れヨーロッパ(EU)の仲間入りを使用としているグルジア。国土が豊かでバランスのとれた国だ。産業は農業中心で購買力平価でのGDPは一人当たりで5,000US$ちょっと。アゼルバイジャンの半分でアルメニアとほとんど変わらないけれど、肥沃な国土で収穫される豊富な農産物を背景として、物価が安いこともあり都会でも田舎でも人々は石と木を使った立派な家に住みゆったりと暮らしているように見えた。田舎に行くと廃墟や古いソ連的なマンションが目についたアルメニアとはとても対照的。

印象的だったのは首都トビリシの町並み。高い建物がほとんどなく、昔ながらの建造物と石造りの教会を残した美しい町並みで、バランスのよさが伺えた。バクーのような成金趣味ではなく、文化の香りが漂う街。そしてもうひとつ、どこの街に行ってもグルジア国旗とEUの旗が掲げられていてEU入りを目指していこうとしている国の方向性がわかりやすかった。2003年のバラ革命、率直に言って、キリスト教国家だけにトルコより可能性が高いと思う。三ヶ国の中では観光には一番心地よい国なんじゃないかな。

●アルメニア
民族の歴史と文化への誇りを持ち続ける不器用な民族、アルメニア。 1992年に独立後すぐにアゼルバイジャンとの間でナゴルノ・カラバフ紛争がありアルメニア人は領土を勝ち取ったが、以降アゼルバイジャンからの物資は何も入らなくなった。とくに石油。トルコともアルメニア大虐殺の歴史問題が決着せず国境は閉ざされたまま。自国には資源をほとんどもたない内陸国なのに、人と物の通行口がグルジアとイランしかない。

その上、国土は火山性土壌で標高も高く、紀元前から人が暮らしている土地のためやせていて山は草原が続く。ソ連時代に投資された工場は紛争中にほとんどが廃墟となり、あまり産業も育っていない。 そんな状況ながらも、アゼルバイジャンとトルコに対する態度は一貫しているのが面白い。経済的利益を犠牲にしながら、民族の歴史と文化への誇りを大切にし続ける。金より大切なものってこういうことなんだろうなと感じたよ。

Written by shunsuke

2012年5月13日 at 9:12 PM

カテゴリー: 2012/05 Caucasus