人に学びて、自然とともに生きる

Never stop exploring, Keep your curiosity fresh

Archive for 11月 2007

読書の秋

leave a comment »

秋も深まり、最近久々によく本を読んでいる。仕事を始めてから本を手に取る機会が少なくなっていたので、こんなにまとめて読んでいるのは久しぶりだ。
浅田次郎「蒼窮の昴」。しばらくぶりに寸暇を惜しんで活字に貪りついた物語だった。同じ村出身の春児、文秀、この二人の人生を通して清末の中国という一番面白い激動の時代を描いている。ストーリーは奇をてらうことはないが、秀逸なのは科挙と宦官という中華王朝を支えたこの二つの制度を緻密に描いて架空の人物を王朝を貫く歴史の中に取り込んでいることだろう。
それに加えて李鴻章や西太后たち実在の人物がその中に絡み合っていくことで、架空の人物が色めき躍動している。そして浅田作品ならではの人間味溢れる人物描写と心の内面描写はいつもながらすばらしい。
チャイニーズドリームを夢見てそれを実現させるべくまったく別々の道で一心不乱に前進し続ける春児と文秀。最終的な目的はひとつでも、そこにたどりつくには無数の選択肢がある。家庭の経済条件、身体条件、それこそあまたのハンデがあるだろうが、自分の信じた意思を貫き通す人間の強さのみが人を動かし自分の運命を変え、時代を動かす。これが物語を貫いている主題なのだろう。
「もうこれしかねえんだ」物語の前半、春児は心の中でそう叫びながらごくわずかな光を目指し人生を変える決断をする。あまりに選択肢が多い現代がゆえに、そんな春児の生き方は僕たちに鮮烈な印象を与えるのだろう。
パール=バックの「大地」が土に根ざして生きる中国人民の力強さを描いた文学作品だとすれば、これは中華帝国をつくりあげたその制度と史実をもとにした極上のエンターテインメント。この11月に完結した続編「中原の虹」も読む価値あり。
蒼穹の昴(上)
蒼穹の昴(上)

posted with amazlet at 11.10.02
浅田 次郎
講談社
売り上げランキング: 17173
広告

Written by shunsuke

2007年11月30日 at 10:55 PM

カテゴリー:

谷町筋を歩く

with 3 comments

先週末、仕事の都合で週末まで大阪に滞在することになった。
 
合間をみつけ秀吉が築いた大阪城周辺を歩いていると、筋と通という名前が目に付いた。地図を見ると碁盤目に道が作られていて、南北を貫く「筋」と東西にのびる「通」が町並みをつくっている。そうか、御堂筋の筋はこういう意味があったのか。wikiによると船場において「家々の間口の面した道」が筋の由来となったらしいとのこと。間口の面した「通」の両側は一つのコミュニティー(町)を形成しており、船場の町名は、「通」ごとにつけられていたという。商売人の住むコミュニティが通によって区切られ、その中に筋が各家々までつながっていたということのようだ。
 
大阪城からなんばに向けて谷町筋を歩く。すると、左手に近松門左衛門の墓があった。寺の中にあるわけでもなく、まるで町内会の掲示板のように案内が出ていて、それに沿って民家の脇を進むとひっそりと祠があった。こうして文化人の足跡がさりげなくあるのも上方ならではなのだろう。があった。地図を見てみると曽根崎心中の曽根崎は今では大阪駅のすぐそばだった。
 
歴史のある街を歩いて思うことは、その土地がたどってきた道の上に、そこに生きてきた人たちの足跡の上に地名があるんだなということ。学生時代に人工的につくられた町に長く住んでいたから余計に奥ゆかしい地名には趣を感じる。京都の上ル、下ルの地名にも驚いたけど、関西の地名は奥深い。改めて思えば、長い間日本の中心は関西だった。日本の歴史の中で東京が中心になってまだ400年しか経ってない。
 
そう考えると市町村合併で誕生した新しい地名には土地の歴史のかけらも感じないものが多い。自分たちが先祖から脈々と受け継いできたものをそんな簡単に捨ててしまっていいのだろうか。この先どこに住むことになるのかわからないけど、恥ずかしくてあまり年賀状に書きたくないような地名には住みたくないな。

Written by shunsuke

2007年11月28日 at 10:03 PM

カテゴリー: 旅行