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インド雑感

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先日、4年ぶりにインドに行ってきた。デリー、ムンバイに加えグジャラートのカンドラ港を訪問、以前と大きく変わったとこ、変わらないこと含めて、感じたことをメモしておきたい。

デリー市内になんとメトロが6本も開通していて、しかもかなり正確に5分おきに運行されていた。これは便利。聞いたところ、2010年に開催されたコモンウェルスゲームに向けて気合い入れてインフラ整備を行ったらしい。メトロも日本の技術協力が入っているとか。女性専用車もあるところなんてとてもインドらしい。

乗車マナーはどうなんだろうか?と思って乗ってみた。基本的に金持ちは車で移動するはずだから、地下鉄に乗っている人は庶民階層が多い。それでも乗り降りの時は7割方降りる人を優先にして、乗る人も降りる人を待ってから乗っていた。地下鉄ができたばかりの頃の中国と比べると、数段マナーはいいイメージだ。カーストに代表されるよう、明確な階級が社会の中に存在しているので、こういうところは意外としっかりとしているのかもしれない(見かけはね)。

でもオールドデリーで駅を降りたとたんリキシャと人の群れに出くわす風景は4年前から何一つ変わっていなくて、少しほっとした。都会にいても、田舎にいても人が多い。これぞインド。

デリー、ムンバイでは街の中ではすっかり野良牛を見かけなくなってしまっていた。どこへ行ってしまったのだろうか?でも少し郊外に足を延ばせば、しっかりと牛は道の真ん中を闊歩していた。地元の人いわく、「コモンウェルスゲームの際に郊外へ追い払ったけど、次第に街中に戻ってきていて、あと1年くらいすればデリーもまた野良牛たくさんになるよ」とのこと。たくましい。

もちろん食事はカレー。僕の理解では、インドにおいてカレーというのは料理ではなく調味料であって、日本でいうしょうゆや味噌のようなもの。だから基本的にほぼすべての料理は香辛料が使われたカレー味、おいしいけれど胃腸への負担は大きかったようで3日目におなかをやられて医者にかかる羽目になった。デリー、ムンバイとも都市では晩ごはんを食べはじめる時間帯は20時過ぎのようで、19時半にレストランに行ったら誰もいなかった。夜は遅い、これ結構意外だった。写真はデリーの南インド料理の名店、Hotel SARAVANA BHAVANのマサラドーサ。ここも22時過ぎまで行列が絶えなかったな。

オリンピック期間中だったけど、ダントツで一番人気があるスポーツ、クリケットが競技にない時点であまり国民の関心は高くなかった。スタースポーツとかではサッカーとかを放映していたけれど、しっかりとクリケット専用番組「Star cricket」があって、24時間クリケットの過去の試合とかを流し続けていた。ホテルで見られるスポーツチャンネルは5つあったけど、そのうち2つがクリケット専用番組。それだけ人気があるってことだよね。

今回、出発前にマルチスズキのマネサール工場で死者が出た暴動があったり、滞在中に北部の大停電があったりしたけれど、現地に向かう飛行機の中で友人が貸してくれたこの本を読んでいたので、現地で見たこと感じたことがすっと腑に落ちた。インドのことを知りたい!という方には全力でおすすめです。

グローバリズム出づる処の殺人者より
アラヴィンド アディガ
文藝春秋
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Written by shunsuke

2012年8月18日 at 12:48 午前

カテゴリー: 自分の仕事と研究のこと

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社会人6年目の覚悟

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4月1日、まだまだ非日常感あふれる毎日から抜け出せてないけれど、社会人6年目に突入しました。こういう時にでもやっておかないとずぼらな僕はなかなか自分の仕事の方向性を振り返ることができないので、今後の仕事の目標を整理しておきたいと思います。

①決断力と勇気を持てるリーダーを目指す
一年半の中国での経験で一番強く感じたこと。それは自分に不足しているのは決断を下す覚悟ということだった。判断を下すべき時に自分の信念に沿って相手を納得させることができるような決断と伝達ができる、そんな人間になれるよう日々覚悟する。ケツをまくろう。

②常にアウトプットに付加価値をつけて、Give&Give
情報って自分で思っているよりも価値がないものだ。特に一人で独占しても意味がない。だけど、一人では意味のない情報も一万人で共有できればそれが別の価値を持ち、自分がGiveしていればいつかそれが組織のためになる。もちろんGiveできるものだけだけど、1回Giveされたら3回はこちらからGiveする。そして、そういう場所には人と情報が集まる。

③自分が確信を持つビジョンに対しては忠実になる
たとえ今は組織がその仕事の必要性を認めなくても、自分が組織の将来のためになると確信をしていることは、組織に反対されても内緒でも準備をすすめる。そんな存在でいたい。いずれそれが必要な時がきたらこっそり準備をしていたことを伝えればいい。必要な時がこなかったら伝えなければいい。いい意味で腹黒く。そうでなかったら世界のスピード感に置いていかれる。

今更優等生を気取ってもどうしようもないので、こんなサラリーマンでいこうと思います。会社からすると扱いづらい社員だと思いますが、うまく扱ってくださいね。

Written by shunsuke

2011年4月3日 at 12:05 午前

食いだおれ出張記

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9日ぶりの日本。テレビから「東京でも食べ物がない!」との映像が流れていたので、覚悟して戻ってきたものの、ものがあふれるスーパーのようすを確認して一安心です。

地震の被災地で食べ物に困っている人には申し訳ないくらい、とにかく食べてばかりの最近でした。基本的には朝は麺で、昼と夜はみんなでつついて食べる中華飯でした。朝ごはんの麺たちはこんな感じです。

こちらは縮れ麺に濃い目に味付けしたひき肉をのせたやつ。お好みでチリをかけてかき混ぜる。すると、ひき肉のソースとチリが麺が絡み合って食がすすむ。朝から食べすぎだ。半分くらい食べてからスープを入れると、スープなしの時とはまた違った味が楽しめる。一度で二度おいしい。広西の米粉と同じだね。

東南アジアといえば、エビを忘れちゃいけません。小さい時はにおいをかぐだけでも嫌だったのに、今ではおいしいエビなら喜んで食べますよー。どの麺にも共通していたのは、店ごとに味にこだわってじっくり煮込んだスープがある点。ここはエビや貝を弱火で煮たしてダシをとっていた。もちろん味は文句のつけようがありませんです。

そしてラクサ。米粉そっくりのビーフンに魚系のダシをたっぷりきかせたココナッツ味のスープを注いで、チリを入れて食べる。実はこれまで食べたことなかったのだけど、甘めのスープとチリもただ辛いだけじゃない。いろんな香辛料を炒めてつくられたペーストは辛さの中にコクがあってこれに白飯かけて食べたいくらい。そんな甘さと辛さを一度に楽しめるラクサ、やみつきになりそう。

食べてばかりじゃなくて、それなりに仕事もしてます。ボートで川をさかのぼったり。

南国の鮮やかな花に見とれたり。

蝶の大群にも遭遇した。これはびっくり。

時にはご飯食べることも仕事だったり。

スコールのあとはこんな虹も。うまく写真に撮れなかったけど、二重に虹が出て幻想的だった。二重の虹は初めて見た。

そうそう、夕日も忘れちゃいけない。海に夕日が沈むので毎日絵の具をキャンバスに塗ったような鮮やかな夕日だった。なかなかゆっくり夕日を見る時間はなかったけど、最終日にようやくこの夕日を眺めながらゆっくりお茶を飲むことができた。幸せなひとときだったなあ。

そんな内容の濃い時間の中で、一番印象に残っているのは地元の人々ののんびりした生活の時間の流れとおおらかな性格。もちろんビジネスはビジネス。それでも一度じっくり根を下ろしてここで生活してみたい。そう思わせる場所でした。また行くことができるよう、うまく形にしていかないとね。

Written by shunsuke

2011年3月22日 at 2:04 午前

おのぼりさん上海万博を見に行く(後編)

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社員とパートナーを連れての上海旅行後編。4日目からはいよいよお目当ての上海万博会場に向かう。まずはここ。万博の目玉になっている中国館で記念撮影。蘇州よりも杭州よりもテンションが高いぜ。

この日はさすがに皆の目的も違うので別行動。僕は今回の旅行の下準備で万博にどんなものがあるのかも調べずに来たものだからとりあえず人の少なさそうなところへ行ってみることに。まずは中国館の近くにあったスリランカ館に入ってみると、中にはスリランカの観光紹介や雑貨が展示されていて、おいしそうなチャイとスリランカカレーが売っていた。

そうか、万博って国際協力フェアみたいなものか。でもチャイが15元(200円)、カレーが50元ってかなり高いよね。でもおいしかったからいいか。

スリランカ館から少し歩いてみるとサウジアラビア館があった。会場一豪華という噂のここは3時間待ちの大行列。会場の中ではどの館がどれだけ並ぶ必要があるのかしっかりアナウンスしてくれていて、この日の一番人気はわが日本館、4時間待ちだった。

やっぱりみんな日本が好きなんだよね。日本の技術、きれいなところ、よいところは多くの中国人があこがれているところでもある。僕は中に入っていないから実際がどうだったのかよくわからないけれど「日本館ってどういうところなんだろう?やっぱりすごいんじゃない?」とわくわくしてもらえるような魅力が日本という言葉に詰まっているのはうれしいことだ。日本の報道だとずいぶん尖閣問題で盛り上がっているけれど、大部分の中国の人たちは国の話と個人の話はきっちり分けて考える人が多い。もちろん電車に乗って隣に座った人に「南京の大虐殺記念館に行ったか?」なんて聞かれることもたまにはあるけれど、最近の日本の報道を見ていると日本のほうが余裕がない気がする。

さて、気を取り直して歩いていくと、個性的な雰囲気を放つスペースがあった。近づいてみるとトルクメニスタン。2008年に足の骨折で断念した中央アジアの北朝鮮ではないか!2007年まで金正日のように君臨していた故ニヤゾフ元大統領の肖像画は拝めるのか、とわくわくしながら入ってみると、大統領の肖像画がニヤゾフ氏から現大統領のベルディムハメドフ氏に代わっていた。なんかちょっと残念・・・

そしてトルクメニスタン館を過ぎて進んでいくとひときわ人が少ないパビリオンが目に入ってきた。よくよく見てみると右からレバノン、イラン、そして北朝鮮。悪の枢軸(懐かしい)勢ぞろい!

アメリカから見たら悪の枢軸かもしれないけれど、中国から見たらどの国も友好国ばかり。報道によると北朝鮮にはブースの建設費を中国が出してあげたみたいだ。

レバノン館のそばに人だかりができていたので寄ってみると「万博パスポート」が売られていた。これに各館ごとにスタンプを押していって集めるのが万博で大人気らしい。まだまだ中国人の多くの人は外国に行ったことがない。そんな人たちと世界をつなぐのがこの万博、中国そして中国人と世界との距離を縮めるのがこの万博の目的なんだろうな。そう考えると、万博に対する中国の国の力の入れ具合とかいろいろなことが頭の中でつながってくる。そうか、なるほど。

中国の人が世界を感じるためのお祭り。そんな万博も10月いっぱいで終わろうとしている。暑い中子どもにせがまれ着いてきているお父さんも多くて、みんな大変そうだった。僕は暑さで半日で終わりにしたけれど、家族連れではなかなか大変なのはどこの国も同じようだ。

Written by shunsuke

2010年9月29日 at 11:39 午後

カテゴリー: 自分の仕事と研究のこと

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おのぼりさん上海万博を見に行く(前編)

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尖閣諸島(釣魚島)をめぐっていろいろゴタゴタしているけれど、そんな中仕事のパートナー10人、社員7人計17人を連れて上海万博見学に行ってきた。
 
17人のうち15人は初めての上海、3人は飛行機に乗るのも初めて。中国人17人が中国国内旅行をするのに、なんで僕が引率をしなくてはならないの?そんな疑問はさておき、工場視察も兼ねておのぼりさんで大都会に行ってまいりました。とはいえ目的は仕事のパートナーとの関係を深めるため。遊びじゃなくてあくまで仕事なのです。
 
初日はまず蘇州。数々の庭園が残る古都を貸切マイクロバスで見学していくわれわれ。ガイドさんがついて先導してくれるのだけれど、みんな思い思いの場所で記念撮影をするから、いつも気がつくと誰かがいない。そのたびに探し回る僕。僕も昔から団体行動が苦手だったけど、今になって団体行動の大切さが身にしみるよ。
 
 
二日目は杭州、西施ゆかりの西湖で遊覧船に乗る。少し雨が降って天気が悪かったけれど、それもまた風情があっていい。だけどあまりに水が汚くてげんなりした。2000年に来た時はもう少しマシだったんだけどなあ。ここではちょびっとお茶目に記念写真。
 
 
3日目からは真打ちの大都会上海へ。まずは474mの展望台を持つ上海環球金融センターでびっくり。ああ、首を直角にしないとてっぺんが見えないよ。見上げすぎて首が痛い・・・
 
 
そして南京路をぶらついた後は夜の黄浦江遊覧へ。ところがこの乗り場が、チケットを待つ団体旅行客であふれ返っていて、中国の人の多さに慣れたはずの僕もびっくり。中国の各地から万博目当てに毎日およそ50万人もの人が集まってきていて、そのついでに上海の観光をしていく。中国政府も上海万博の動員目標を立てているから、それに達しそうにない場合は政府関係の部署に通達が出て強制的に行くことになる。だけど上海のほかの場所はそれほどの人数を受け入れるように整っているわけではないから、自然と人があふれ返る。
 
 
発行される遊覧船のチケットを奪い合う各団体旅行のガイドたち。こうなってくると他人を押しのけた者勝ちだ。これはあまり目にしたくない光景だなあ。
 
 
万博編に続く。

Written by shunsuke

2010年9月22日 at 2:09 午前

赴任後の一年間を振り返ってみた

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気が付いたら2009年7月に南寧に来てもう1年ちょっとが過ぎた。ちょうどいい機会なので1年住んでみて気がついたことをまとめてみた。
 
●広西、南寧の印象
・東南アジアへの中継地点として注目を浴びている中で、街が発展しているスピードは中国の他の地区と比べても速い。
・人はのんびりしている。歩くのもゆっくり。給料が安くてもほかの地域に働きに行くより広西で、南寧で働きたいという人が多い。
・ハードは整いつつあるけれど、まだまだ田舎。食べ物の選択肢も多くないし、スタバもまだない。
・娯楽が少ない。基本的にビール飲んでツァイマーというじゃんけんに似た広東エリアの遊びをして、カラオケに行くくらい
 
そして、赴任前に自分で設定した南寧でのミッションを振り返ってみる(南寧でのミッションについて考えてみた)少しずつ形になりつつあるけど、まだどれも中途半端なままだ。最低3年スパンで考えていたけれど、それでももう3分の1が過ぎたことになる。加速しないと。
 
●赴任1年経過後ミッション自己採点
①経営安定かつ事業の将来に道筋をつける(20点)
いろいろ模索して試して調査しているものの、外部要因もありまだ形にできていない。方向性としては間違っていないのであとは形にするだけ。会社の方針が1年前よりはっきりしてきたので、その流れにのらずしてどうするよ。
 
②会社にも地域にもメリットのあることを事業の枠組みでつくりだす(10点)
自分でミッションを設定したものの、これが意外と難しい。従来事業の枠組みでは難しいので何か①の部分と合わせていいアイディアを生み出して形にできたらいい。
 
③ODA(草の根無償、JICA)を活用してワクワクできそうな地域貢献活動を継続的に行う(70点)
なんだか本業以外のところで一番形にできている気がする。5月には日本語スピーチコンテストの開催をアシストし、10月からは広西大学での出前講座も始まる。年内に広西日本商工会の組織化をして、広西と日本をつなぐプラットフォームをつくっていきたい。
 
④事業での経験を研究にフィードバックする(50点)
こちらも本業外で高得点。ただ従来の人とのつながりに加えて、新しい出会いがたくさんあって、それなりにチャンスをもらっているもののそれをいかせていないところもある。周りの人たちに感謝です。
 
中国で仕事をすることの大変さは予想以上だった。あたりまえだけどやっぱり学生で気楽に滞在するのと、責任を背負って仕事をするのは全然ちがうね。来年の今頃はもう少し高得点になっているよう次の一年間も後悔しないよう過ごしていきたいです。

Written by shunsuke

2010年9月11日 at 3:21 午後

サイザル麻ってなに?

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サイザル麻の工場に行くんだけど、どう?え、何それ?と聞かれそうなサイザル麻。僕も広西に来るまではそんなもん聞いたことも見たこともなかった。中国名「剣麻」、日本語でも中国語でも麻の字がつくけれど、麻でなくてリュウゼツランの一種。広西自治区ではこのサイザル麻の栽培が広範囲で行われていて、サトウキビ、ユーカリと並んで僕は勝手に広西三大商品作物(農林産物)と呼んでいる。

ということで、好奇心旺盛な友人たちが広西にやってきて、サイザル麻の工場を見に行くというので僕も一緒に行ってきた。10人くらいの大所帯の我々を乗せたバンは、まずはこんな感じののどかな田舎道を進んでいく。

すると突然不思議な植物が一面に植えられている景色に出くわす。このトゲトゲがサイザル麻、でかいアロエみたいなものと言えば分りやすいだろうか。この葉っぱの部分にたっぷり天然繊維があって、一年に一回葉を収穫してそこから天然繊維を生産する目的で栽培されているのだ。

そしてコイツ、かなりでかい。毎年葉を収穫するたびに背が伸びていって、でかいものは葉の部分を含めると2m以上にもなる。その上、葉の先がかなり鋭く尖っていて刺さると出血するかなり危ないヤツなのだ。ほら、もっと近づいて!と言われて恐る恐る近づくKS、びびってんじゃねーよ。

そんじゃ、こいつらがどんな風に加工されているのかと工場にお邪魔しに行くと、まずはこんな感じでもぎ取られた葉っぱが工場に運び込まれていた。って、どれだけ積んでるんだいこのトラック、中国ではごくごく普通だけど、よく乗っかっているなあと感心してしまうよ。

工場に運び込まれた葉っぱから繊維を取り出し、ほぐしていく。葉からどうやって繊維を取り出すのか、聞いたのだけどすっかり忘れてしまった。たしか薬品使って葉の肉の部分を溶かすはず。ともあれあの緑色の巨大なアロエからこんな感じで繊維が取り出されていくのだ。

近くで見る繊維はこんな感じ。パッと見た印象は釣り糸で、滑らかそうに見えるけれど、かなりゴワゴワしている。

この繊維をよっていき、最終的にロープができあがる。このロープの感触は綱引きの綱、昔は強度を求められるところに使われていたみたいだけれど、化学繊維にとって代わられて今では帽子やカバンなどの工芸品や靴磨きのブラシなどの製品に使われているらしい。結構落ち目の素材なのか。もっと生活に近いところでの用途が開発できれば、天然繊維であることのメリットが生かせて高付加価値製品になりそうな気がするんだけどなあ。

なんかもっとこの素材をいかせる製品はないんだろうか?気になって家に帰って調べてみたら、日本で結構内装材として使われているらしい。気性・保温効果に優れ、静電気も発生しない上、裸足で歩いた時の感触が良く、調湿性や防臭性も高いことなどからため、カーペットや壁紙として多く利用されているとのこと。なーんだ有望そうな用途があるじゃないか。天然素材を売りにした内装材これから中国で伸びそうだ。
 
ふと思ったのだけれどリュウゼツランということはテキーラが作れるんでない?ラムの原料のサトウキビもたくさんあるし、ここはカリブと一緒だね。

Written by shunsuke

2010年9月4日 at 1:50 午前

北部湾って知ってますか?

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8月12日と13日南寧で開催された「第5回北部湾経済圏協力フォーラム」に出席してきた。え?北部湾ってどこ?と疑問に思う人も多いと思う。日本ではトンキン湾と知られるハイフォンから雷州半島まで続く湾のことを中国では北部湾と呼んでいて、ベトナムでもVịnh Bắc Bộと同じ文字を当てているんです(ここね↓)。

広西自治区は中越戦争の影響で90年代初頭まで外資に開放していなかったこともあり、沿海部なのにまだそれほど経済発展が進んでいない。中国はASEANとの関係性の中で、この地域を北部湾経済圏として重点的に開発しようとしている。その中で投資が進んでいますよーみんなだからもっとおカネ落としてくださいねーと内外に向けてアピールするためのイベントがこの「北部湾経済圏協力フォーラム」なんです。

フォーラムの出席者は政府関係者、学者、企業関係者など400人ほど、うち9割が中国人であとはASEANからの人やその他の人たち。そのうち日本人は僕も含めて5人だけだった。日本からはなかなか見えづらい地域だけどちょっと寂しいね。そんな中、呼んでもまったくメリットのない僕が出席しているのはあまりに外国人が少ないから少しは呼んでおかないとハクがつかないからだろう。会場はこんなところ。

このフォーラムの見せ場が、北海、欽州、防城港、南寧地区に投資が決まったプロジェクトの調印式。投資額何億元!何十億元!といったプロジェクトを調印していく。というこういう時は承認されている計画だけでなく、いつか投資したいねーという計画まで投資額に含めてしまうので、ほんまかいなというような投資額が発表されるのも面白い。こうなるともう数字遊び。とにかくデカい金額を言ったもん勝ち。どうせ実行段階になって誰も調べないもの。で、まさにこれをテレビやその他で伝えて、広西発展してますよー僕ら自治区政府も仕事してますよーと(党中央)にアピールすのがこのフォーラムの目的なんです。

このフォーラム、調印式のほかに一日半、政府関係者の紋切り型の挨拶や学者のプレゼン、パネルディスカッションが続いていくのだけど、その合間のコーヒーブレイクもまた面白い。会場の横にコーヒーサービスがあって、飲み物とケーキをサーブしてくれるのだけれど、休憩に入ったとたん僕ら来賓でなくて会場スタッフや記者が飲み物食べ物を占領してしまうのだ。僕らには座る場所すらない。

こういうのを見るとまだまだ田舎だなあって思う。客を呼んでおいて客をもてなさなくてはいけないスタッフが邪魔しているんもの。やっぱり自分たちのために開いているんだよねって感じてしまう。今年は南寧で初めての世界的なイベント世界ハーフマラソン選手権も10月に開催されるんだから、こんな表面だけのもてなしよりも呼んでいる客のことを考えてほしいよね。頼むよ!

Written by shunsuke

2010年8月23日 at 12:19 午前

雲南での三日間

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「おい、ちょっと雲南省へ行ってきてくれ」一時帰国の間際、そんな上司の一言で雲南省の山奥、景谷へ行ってきた。南寧から飛行機で一時間飛ぶと、青春時代をすごした雲南省の省都、昆明に到着。そこから車で10時間以上かけて山奥へ入っていく。
 
高速道路を降りるといきなり道が悪くなった。どうやら道路の拡張工事中らしく、その上雨が続いていたのでいたるところでがけ崩れが起こっているらしい。一時間ほどガタガタ道を行くと、完全に車が停まってしまった。降りてみてみると、路肩が完全に崩れている。こりゃひどい。
 
 
並んでいる車の前のほうに行ってみると、崩れてきた土砂で完全に道が埋まっていた。そこをショベルが必死に土をのけている。こりゃ、だめだ。
 
 
僕らには待つしかないので、ベトナム風のすげ笠かぶって記念写真。
 
 
雲南省は山だらけ。そんな山だらけの土地に4,000万人以上の人たちが暮らしている。ほんの少ししかない平らな土地に家が建てられ、そして斜面は棚田になっていることが多い。自然と人間の生活とのせめぎあい、日本の田舎で見たことのあるような景色だ。
 
 
雲南には固有の松があって、その松からとれる松脂が一大産業になっている。こんな感じで松の幹に傷をつけると脂が出てきて、下のコップにたまる。それを月に一回くらい回収するというわけだ。
 
 
農作業の帰り、サツマイモの葉を大量に抱えたおっちゃん。
 
 
このあたりはプーアル茶の名産地。街のお茶屋さんに入ると、広西じゃなかなか手に入らないような貴重なお茶が破格の値段で売られている。そんな茶館でゆっくりお話しながらお茶を飲んでいるとあっという間に滞在時間が過ぎてしまった。
 
 
雲南で留学していた頃には、自分が仕事でこの場所を訪れる日が来るなんて思いもしなかった。雲南は広西の隣の省なんだけれど、気候も人々も全然ちがう。雲南省で過ごした時間より広西で過ごしている時間のほうがすでに長くなっているのだけれど、それでも僕にとって雲南はとても懐かしい場所だ。ここに来るたび帰ってきたんだなあという感覚を覚える。そんな三日間の雲南滞在、また近いうちに来ることになりそうなので次も楽しみだ。

Written by shunsuke

2010年8月2日 at 3:26 午後

中国とASEANとのFTAについて

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2010年1月、中国とASEANとの間でのFTAが本格的に開始された。中国とASEANは2001年11月にFTAの締結について基本合意に達し、特定農産物を対象にした04年の先行関税引き下げを経て05年1月に工業製品など7,000品目に対象が拡大され正式に発効している。

それ以降ASEAN先行加盟国のインドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピン、ブルネイは2005年より段階的に関税を撤廃して、2010年から晴れて特定品目を除いた全体の93%にあたる品目で関税がゼロとなったわけ。中国のASEANからの輸入に対する平均税率は0.1%になったらしいので、ほぼ無税。ちなみに他の国に対する中国の平均税率は9.8%、日本は2008年度実績で6.7%。

ただもちろん中国、ASEAN各国ともに特定品目を設定して、この分については引き続き一定の関税を課していくことになる。ASEANから中国にモノを輸入する際のコメ、小麦などの穀物、内モンゴルで生産される羊毛、雲南名産のタバコ、テレビなどの主要産品はしっかり保護しているのはさすが。ま、当たり前といえば当たり前か。

  中国の主要な対ASEAN「特定品目」
※ASEAN各国から中国に輸入する際にかかる税率
品目 税率
コメ、小麦、トウモロコシ 65%
砂糖、蔗糖 50%
尿素、リン等化学肥料用原料 50%
綿花 40%
羊毛 38%
テレビ、PCディスプレイ 30%
タバコ 25%
乗用車 25%
天然ゴム 20%
合板、MDF等木質ボード    4%~12%
ダンボール原紙、板紙 7.5%

ASEAN後発加盟国のベトナム、カンボジア、ミャンマー、ラオスは2015年までに先行6カ国から5年遅れて段階的に関税を撤廃していくことになる。中国の報道は「2010年時点で貿易額4兆5,000億ドルと加盟人口19億人の発展途上国最大の自由貿易圏だ!」と大賑わいだった。と探していたらテレビニュースも出てきた。

http://cntv.china.com.cn/video.asp?id=798

ちなみにASEANにとって2010年は区切りの年でASEAN6カ国内での原則8,000品目での関税撤廃、韓国との中国同様のFTA、そしてオーストラリア、ニュージーランドとのFTAも発効となるらしい。そういえば日本とも2009年にEPAも結んでたっけ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091229-00000002-fsi-bus_all

ともあれ「ASEANへのゲートウェイ」を自称している南寧にとっては一大転機で、商務部と自治区が中心になって記念フォーラムを開催したので行ってきた。三日間の日程ってことで指定されたホテルに行くと、ホテルからなんとパトカー先導で会場入り。交差点も警察官がいて交通整理、赤信号も関係なく進んでいく。やべ、こりゃ本気だ。

初日はバンケットのあと花火大会。南寧の夜景をバックにフルオーケストラの演奏に合わせてこれでもか!というくらいバンバンあげる。

花火?たいしたことないんじゃない?なんて思っていた僕が大間違い。100mくらい先の目の前で上がる花火の迫力はすごい。ずしんずしんと身体の芯に響いてくるぜ。同行者曰く「北京オリンピックの閉幕式の花火よりすごかった」。

2日目は記念式典。このタイミングに合わせて投資プロジェクトの調印式をしたり、記念講演をしたり。マレーシアのエコノミストの「中国は○○億元の投資をする!と約束してもその金額が実行されないことが多い、ちゃんとしてよね」と堂々と指摘していたのにはちょっとびっくりした。やっぱり言うことは言わないと。今回調印された中国からの投資案件も金額ベースで半分はCBDがお金を出したもの。これってひも付き借款って考えていいのかな?

参加者は300人ほど。政府関係者、研究者、企業関係者。80%が中国の政府、企業関係者であとはASEAN各国からの政府関係者、外資企業などなど。日本人は10名弱。自治区政府曰く「呼んだけどあまり来てくれなかった」とのこと。

二日目の夜にはこんな民族舞踊パーティまで。これでもか!っていうくらいに豪華。

聞いた話によると○○○万元くらい自治区政府は使ったらしい。それを聞いて納得するくらいの豪華さだった。中身が充実したいたというわけではないけれど、気合いの入りようと広西の威信がかかっているということはひしひしと伝わってきた。

それにしても欧米諸国が自由貿易の推進を見直そうとしている中いまだ社会主義を標榜している中国と、反共産主義という意味合いもあったASEANとが経済的メリットという共通の目的事項で手を結ぼうとしているのはなんか皮肉だ。そう思うのは僕だけだろうか。

Written by shunsuke

2010年1月17日 at 4:43 午前